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公的年金には下記3つの制度があり、一人一年金の原則(併給調整)があります。
障害年金も老齢年金と同様に、1階部分の「障害基礎年金(国民年金)」と2階部分の「障害厚生年金(厚生年金)」の2階建て構造になっています。
このページでは、土台となる「障害基礎年金」を中心に仕組みを解説します。
障害基礎年金の受給額(令和8年度)
※昭和31年4月2日以降生まれの方の基準です。※会社員や公務員(厚生年金加入者)の方は、表に加えて「障害厚生年金(1級〜3級)」が上乗せされます。※家族の状況により加算があります。
もしものときの必要な備えについて
障害基礎年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に制限が生じた際、生活を支えるために国から支給される公的年金です。「障害」という言葉から、目に見える身体的な障害をイメージされるかもしれませんが、実際には以下のように幅広い病気やケガが対象となります。
うつ病などの精神疾患や、がん・糖尿病といった身近な慢性疾患でも、生活や仕事に大きな支障が出ている場合は受給の可能性があります。
参照:日本年金機構/障害年金の対象となる病気やケガにはどのようなものがありますか。(2023年10月23日)障害基礎年金は、障害の原因となった病気やケガで「初めて医師の診察を受けた日(初診日)」が、次のいずれかの期間中にある方が対象です。
国民年金の加入期間中
会社員、自営業、主婦・主夫、学生、無職など
20歳前の期間中
まだ年金制度に加入していない子どもなど
※請求は20歳以降になります
60歳以上65歳未満の期間中
定年退職後などで、日本国内に在住
※老齢基礎年金の繰り上げ請求をしていない人
会社員や公務員(厚生年金加入者)の方は、障害基礎年金に加えて「障害厚生年金」も上乗せで受給できます。
すでに受給している人が65歳になった場合
65歳になると老齢基礎年金の受給資格も得られますが、「一人一年金」の原則(同時期に2つ以上の年金は受給できないルール)があります。そのため、どちらか一方を選択することになりますが、多くの場合、税金がかからない(非課税である)障害基礎年金を選んだ方が有利になります。
65歳以降に初めて新規申請したい場合
障害基礎年金を新しく請求できるのは、原則として65歳の誕生日の前々日まで(※正確には「65歳に達する日の前日まで」の障害認定期間)に初診日があり、その時点で一定の障害状態に該当している必要があります。65歳を過ぎてから新しく請求することは原則としてできませんのでご注意ください。
障害基礎年金を受給するためには、国が定めた3つの要件をすべてクリアする必要があります。どれか1つでも欠けていると、どんなに症状が重くても受給することができません。
初診日要件
障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診察を受けた日
保険料納付要件
年金保険料をしっかり納めているか
障害状態該当要件
国の定める障害の状態に該当しているか
以下に、「保険料の納付要件」と「初診日のルール」について詳しく解説します。
障害基礎年金を受け取るためには、年金保険料をきちんと納めている必要があります。チェックされるのは、「初診日がある月の前々月」までの期間です。以下の「原則」または「特例(救済措置)」のどちらか一方を満たしていれば、納付要件はクリアとなります。
公的年金に加入すべき期間のうち、「保険料を納めた期間」と「免除・猶予された期間」を合わせた期間が3分の2以上あること。
上記の原則(3分の2以上)を満たせない場合でも、以下の条件に当てはまれば受給できます。
なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は不要ですが、一定以上の所得がある場合は支給が制限(停止)される所得制限があります。
障害基礎年金を請求する上で、もっとも重要と言っても過言ではないのが「初診日」です。
初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師や歯科医師の診療を受けた日のことです。なぜ初診日が重要かというと、以下のすべてが「初診日」を基準に判断されるからです。
診察を受けたのが昔すぎてカルテが破棄されているなど、初診日が証明できない場合は、どれだけ症状が重くても不支給になってしまうケースがあるため、当時の領収書や診察券などの保管が非常に重要になります。
障害認定日とは、障害の程度(等級)を定める日のことです。
原則として「初診日から1年6カ月が経過した日」または「1年6カ月以内に症状が固定した日(治療の効果が期待できないと認められた日)」となります。
この障害認定日の時点で、国の定める障害等級(1級・2級)の基準に該当しているかどうかが審査されます。
1年6カ月を待たずに
認定される「特例」の基準
通常は1年6カ月待つ必要がありますが、以下のような特定の治療や状態になった場合は、その日が障害認定日となり、すぐに請求手続きを進めることができます。
他に新膀胱増設、咽頭全摘出、在宅酸素療法について各基準があります。
参照:日本年金機構/障害認定日 (2021年9月28日)障害基礎年金の対象となる障害の程度は、法律によって「1級」と「2級」に定められています。「3級」は障害厚生年金の対象となり、障害基礎年金は対象外です。これらは「身体障害者手帳」の等級とは基準が異なるため、手帳を持っていなくても、年金における基準を満たしていれば受給が可能です。
国が定める障害基礎年金の等級基準は、ざっくり言うと「日常生活にどれだけの支障が出ているか」が目安になります。
1級の基準
他人の介助がなければ生活できない状態
【具体的な例】
2級の基準
日常生活に著しい制限がある状態
【具体的な例】
障害基礎年金は、障害の重さ(等級)によって支給される基本の金額が決まっています。また、受給者に養っている子どもがいる場合は、さらに金額が上乗せ(加算)される仕組みになっています。
障害基礎年金の受給額は、老齢基礎年金の満額をベースに計算されます。2級は老齢基礎年金の満額と同額で、1級はその1.25倍の金額となります。
1級
1,059,125円/年
※昭和31年4月1日以前生まれの方は1,056,125円
2級
847,300円/年
※昭和31年4月1日以前生まれの方は844,900円
子の加算額
第1子・第2子:各243,800円/年
第3子以降:各81,300円/年
※下記の条件を満たす子どもがいる場合
障害基礎年金額(令和8年度)
受け取る人 |
年間の受給合計額 |
|
|---|---|---|
障害等級 1級 |
障害等級 2級 |
|
|
+ |
1,302,925 円 |
1,091,100 円 |
|
+ |
1,546,725 円 |
1,334,900 円 |
|
+ |
1,628,025 円 |
1,416,200 円 |
加算の対象となる「子」は、障害基礎年金を受け取っている人によって生計を維持されている(養われている)子どもで、以下のいずれかに該当する場合です。
障害年金は、待っていれば国から自動的に支給されるものではありません。自分で必要書類を揃えて、障害認定日以降に、申請(請求)を行う必要があります。
手続きは大きく分けて以下の4つのステップで進みます。
すべての書類が揃ったら、年金事務所または市区町村の年金窓口に提出します。
※年金請求書にマイナンバーや基礎年金番号を記載した場合は、戸籍謄本等の省略が原則可能
参照:日本年金機構/障害基礎年金を受けられるとき(2025年12月2日)知っておきたいプラス知識過去に遡ってもらえる場合も!
何年も前から障害状態だったのに申請していなかった場合、「障害認定日(初診日から1年6カ月経過)」時点の診断書を用意できれば、過去に遡って(最大5年分まで)年金をまとめて受け取れる場合があります(遡及請求)。当時のカルテが残っているかどうかがカギとなりますので、心当たりがある方は早めに専門家や窓口へ相談してみましょう。
書類を提出してから、実際に年金が受け取れるようになるまでには長い時間がかかります。
書類が受理されてから、国による審査が終わるまでに通常3カ月〜3カ月半程度かかります。さらに、無事に支給が決まってから実際に口座へ年金が振り込まれるまでに約1カ月〜2カ月かかるため、手続きを始めてから最初の受給までは、4~5カ月近くかかるケースが一般的です。
診断書を受け取ったら、必ず中身を確認
医師が書いた「診断書」の内容と、自分が書いた「病歴・就労状況等申立書」の内容に大きなズレ(例:診断書には「一人で外出できない」とあるのに、申立書には「毎日買い物に行っている」と記載など)があると、審査が長引いたり不支給の原因になったりします。
『初診日』を証明することが難しいとき
「受診状況等証明書」を入手できないときは、『初診日』頃の様子を知っている第三者に申立書を書いてもらうことが、『初診日』の証明に有効な場合があります。
障害基礎年金は、一度受給が決まれば一生涯受給し続けられるとは限りません。多くの場合、定期的な「更新」が必要となり、症状の変化によって支給額が変わることもあります。
障害年金の受給方法には、大きく分けて「永久認定」と「有期認定」の2種類があります。
永久認定
手足の切断や人工関節の置換など、今後症状が変わる可能性がない障害。
更新の手続きは不要で、生涯支給されます。
有期認定
うつ病などの精神疾患、がん、内部障害など、今後の治療や時間の経過によって症状が変わる可能性がある障害。
1年〜5年の一定期間ごとに更新(再審査)が必要です。
永久認定
更新なしで一生涯受給
一生涯
症状が固定し今後変化がないと判断された場合
多くの場合
有期認定
1~5年ごとの更新が必要
5年更新5年更新
障害の状態に合わせて定期的に等級の見直し
更新手続きのポイント
有期認定の場合、誕生月の3カ月前の月末頃に、日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」が届きます。誕生月の末日までに、医師に現在の状態を記入してもらった診断書を提出する必要があります。提出が遅れると、一時的に年金の支払いが止まってしまうことがあるため、届いたらすぐに病院へ手配しましょう。
更新時の再審査(障害状態確認届の提出)の結果によって、その後の年金額が以下のように変動する可能性があります。
症状が重くなった場合
2級から1級へ変更され、年金額が増額されます。
症状が軽くなった場合
1級から2級へ変更されて減額されたり、2級の基準に該当しなくなった場合は年金の支給が一時停止(または失権)になります。
働きながら受給する場合の注意点
障害基礎年金は、原則として「働いて収入があるから」という理由だけで一律に支給停止になることはありません。しかし、症状が回復して「以前と同じようにフルタイムで働けるようになった」という場合は、医師の診断書にもその状態が反映され、次回の更新時に「障害の基準に該当しなくなった」とみなされて支給停止になるケースがあります。
更新のタイミングを待たなくても、症状の変化に合わせて自分から年金額の変更や再開を求めることができます。
症状が重くなり、増額してほしいとき
(額改定請求)
「受給中の2級の症状がさらに悪化して、1級の基準に該当するようになった」という場合は、自分から「額改定請求」という手続きを行うことで、年金額を増やしてもらう申請ができます。
※受給開始から、または前回の更新から1年が経過している必要がありますが、症状の急変などの特例もあります
支給停止になったあと、再び症状が悪化したとき(支給停止の解除請求)
症状が軽くなって一度支給停止になってしまった場合でも、その後再び病気やケガが悪化して受給基準(1級・2級)に戻ってしまうことがあります。その場合は、「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」に現在の診断書を添えて提出することで、再び年金の受給を再開させることができます。
参照:日本年金機構/障害の程度が変わったとき(2024年11月1日)・ふたたび障害の程度が重くなったとき(2018年5月16日)
障害基礎年金の申請を出したものの、結果が「不支給」だったり、「思ったより軽い等級(例:1級だと思ったのに2級だった)」と判定されたりすることがあります。国の決定に納得がいかない場合は、国に対して再審査を求める「不服申し立て(審査請求・再審査請求)」を行うことができます。
不服申し立ての流れ
手続きは2段階のステップが用意されており、いずれも「期限」が厳しく決められています。
第1段階 審査請求
結果の通知(年金決定通知書など)を知った日の翌日から3カ月以内に、地方厚生局内に設置された「社会保険審査官」に対して行います。
第2段階 再審査請求
第1段階(審査請求)の結果にも納得がいかない場合、その決定書が送付された日の翌日から2カ月以内に、社会保険審査会(厚生労働省内)に対してさらに上のステージで再審査を求めます。
単に「納得いかない」という主張だけでは覆らない
単に「生活が苦しい」「体調が悪い」と感情的に訴えるだけでは、決定が覆ることはほとんどありません。まずは年金事務所へ確認したり、個人情報の開示請求を行ったりして、「なぜ不支給(却下)になったのか」という具体的な理由を正確に知ることがスタートラインになります。
法令や「障害認定基準」に照らし合わせて主張する
「最初の審査の段階で、医師の診断書や自分の申立書のどの部分が実態より軽く捉えられたのか」「審査側がカルテの文言をどう誤解しているのか」など、国の判断が障害認定基準に対してなぜ誤っているのかを、書類(趣旨及び理由)で論理的に主張する必要があります。
再裁定請求(はじめからやり直し)という選択肢も視野に
不服申し立ては手続きが非常に複雑で、時間もかかります。そのため、無理に不服申し立てを選択するのではなく、不支給になった原因(書類の表現の不備など)をしっかり修正・対策した上で、もう一度最初から障害年金の申請をやり直す(再裁定請求)方が、結果的にスムーズに受給に繋がるケースもあります。
(2026年6月)
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