教育費や学資保険、子ども費をFPに相談高校生、中学生の子どもが3人います。教育資金のねん出は、どうしたらよいでしょうか。

夫50歳、会社員。妻48歳、パート勤務です。高校生が2人、中学生が1人いる5人家族。今も教育費が月10万円近くかかっていますが、子ども達は3人とも、私立大学への進学を希望しており、これからはもっと負担が増えると考えています。

学資保険には入っていましたが、上の2人の分は、マイホームを購入する際、解約して頭金に使ってしまいました。我が家の貯金は夫婦合わせて650万円ほど。全員の教育費を、貯金だけでまかなうのは難しいと思いますが、奨学金を借りるとしたら、いくらくらい借りるのが適当でしょうか。

【家計収支】
収入(手取り月収)
28万円
14万円
合計 42万円
支出
住宅ローン 9万2000円
食費 6万5000円
電気 1万円
ガス 6000円
水道 8000円
通信費(5人分) 2万円
日用品費 1万円
被服費 2万円
交際費 5000円
交通費(定期代含む) 2万8000円
保険料 2万2000円
学資保険(3人分) 1万2000円
教育費 9万5000円
小遣い(夫) 2万円
小遣い(妻) 5000円
小遣い(子ども3人分) 1万3000円
貯金 1万円
支出合計 44万1000円
貯蓄(夫) 300万円
貯蓄(妻) 350万円

FPからの回答

大学時代に1人500万円以上はかかります

現在の家計状況を拝見すると、毎月の家計に貯蓄の1万円が計上されているものの、赤字分で相殺されており、実質的には貯蓄額が増えていない状態になっています。ボーナスから、どのくらいの金額を貯蓄に回されているのかはわかりませんが、ご相談者様がおっしゃる通り、3人のお子さんを大学まで卒業させるには、貯蓄だけでは難しそうです。支出の中に、無駄遣いと思われる金額がほとんどないので、家計費の見直しで教育費を捻出するのも難しいと思います。

さて、奨学金の借入額を考える前に、大学時代にかかる教育費をご紹介しましょう。私立大学に進学する場合、文科系で500~600万円(4年間)、理科系では700~800万円(4年間)かかり、理系で修士課程まで進学すると1000万円くらい(6年間)かかります。

これは、学校に納める学費や施設費、教科書代などを含めた費用ですが、定期代や食事代、サークルの活動費用のような、個人的費用は含めていません。また、大学時代に自動車免許を取る学生が多いので、免許取得費用も考えておかなければなりません。学校教育費以外の費用負担も考えますと、積極的にはお勧めできないものの、ご相談者のご家庭では奨学金の力を借りないと、教育資金の全部をねん出することは無理そうです。

無利子奨学金は収入基準がかなり厳しい現実を知りましょう

奨学金という言葉を聞いて、多くの方が思い浮かべるのは、日本学生支援機構の奨学金だと思います。日本学生支援機構の奨学金には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があります。

どのご家庭でも、無利子の第一種奨学金を借りたいと思うはずですが、第一種奨学金は、申し込めば誰でも借りられるわけではありません。成績が優勝であることのほかに、経済的に困難であることも条件になっているからです。近年では、年収100~300万円台くらいの申し込み者がたくさんいるため、ご相談者の場合、収入面では借りられる可能性は高くありません。お子さんの成績が申し込み基準を満たしていれば、申し込んだほうが良いとは思いますが、確実に借りられるわけではないことを理解しておきましょう。

そこで今回は、有利子の第二種奨学金をベースに、借入計画を立ててみます。第二種奨学金は、ひと月3、5、8、10、12万円の中から、借入額を選択できます。大学への納入金が年間100万円以上になることを考えますと、奨学金の借入額はひと月8万円か10万円を選択したくなるかもしれません。ですが、ひと月8万円を借りると、4年間で384万円もの借り入れになります。これが3人分だとすると、元金部分だけで1152万円になってしまいます。

お子さんが奨学金のすべて返済してくれればいいですが、仕事を辞めてアルバイトをしたり、転職が巧くいかずに無職の期間があるなど、必ずしもお子さん自身が奨学金を返してくれる保証はありません。実際にお子さんが返すと思っていた奨学金が、お子さんが返せなくなって、親が老後資金を取り崩して支払っているケースはたくさんあります。

そのため、ひと月5万円、年間60万円に借り入れを抑えて、足りない分は貯蓄からねん出するようなプランで考えられてはいかがでしょうか。ひと月5万円と8万円の借入額の差は、月に3万円で、年間では36万円になります。お子さん3人分の合計額では、元金部分だけで432万円になります。お子さん自身にとっても大きな負担の差ですが、万が一、老後資金から親が奨学金の返済をしなければならなくなるリスクを考慮すると、少ない金額を選択したほうが安全だと思います。

ご相談者のご家庭では、上のお子さんの大学受験から、末のお子さんの大学卒業までは、金銭面で息が抜けない時期が続きますが、目の前の支払いを楽にするために、奨学金を多く借りると、将来のお子さんたちの生活を苦しめてしまうのだと肝に銘じましょう。

入学時の納入費用は貯蓄からねん出しましょう

最後に入学費用の準備について。3人目のお子さんは学資保険の保障があるので、入学金の準備はできそうですが、学資保険を解約してしまった上の2人のお子さんの分は、入学金は貯蓄から捻出するしかありません。またお子さんたちには、大学生になったら、通学費や教科書代など、自分の学生生活に必要なお金はできる限り、アルバイトで賄ってもらうような協力も必要だと思います。

いずれにしましても、現在の家計状況をお子さんに説明して、奨学金の借入額を一緒に考えることをお薦めします。日本学生支援機構のHP(http://simulation.sas.jasso.go.jp/simulation/)別ウィンドウで開くを利用して、返済シミュレーションをおこなうこともお薦めします。借りる前に、返済の現実を伝えることで、お子さんたちにも将来の返済について、覚悟を持てるようになるのではないでしょうか。

(2017年12月 畠中 雅子)

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